感染症は、ワクチンの開発や抗生物質などの化学療法の発達により克服できたと考えられた時期があった。しかし、近年新たに出現した様々な感染症(新興感染症)や、既に克服したと考えられていたものの再来(再興感染症)を相次いで経験し、感染症に対する社会的不安が世界的に起こってきた。また、わが国では感染症研究領域の研究者不足とも相まって、一層危機感が高まってきている。さらに多くの感染症は国境を容易に越え,急速に拡大する事も珍しくなく、一国単独ではその侵入の予防や制御は困難であることも明らかである。
 
この様な背景の下、平成17年(2005年)度に発足した文部科学省の「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」における海外研究拠点の一つとして、大阪大学はタイ王国保健省医科学局の協力により日本・タイ新興・再興感染症共同研究センター(RCC-ERI: Research
Collaboration Center on Emerging and Re-emerging Infections)」を設置した。本プログラムは平成22年(2010年)から感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(Japan
Initiative for Global Research Network on Infectious Diseases 「J-GRID」)に引き継がれ第2フェーズが進行中である。
バンコク近郊ノンタブリにある保健省・医科学局・タイ国立予防衛生研究所 (NIH)内のRCC-ERIには、約600m2のフロアにP2・P3レベルのバイオハザード対策を施した実験室に加え、各種実験機器が設置されている。RCC-ERIではNIHの研究者と密接に連携し、新興・再興感染症制圧を目指した研究を展開すると供に、わが国およびタイの若手感染症研究者の育成に取り組んでいる。RCC-ERIは細菌感染症、ウイルス感染症の2部門体制よりなり、新興・再興感染症の出現時には防疫上必要な情報の発信、治療薬やワクチン開発などのさまざまな対策が迅速に行える体制を確立している。
さらに研究の輪を近隣のJ-GRID拠点や国内各大学や研究機関の感染症/微生物学研究者にも広げるべく、研究者コンソーシアムの形成を図り,多くの大学の研究者の賛同を得ている。RCC-ERIはグローバルに伝播する感染症の制御に向けた共同前線基地として利用していただくことが可能となっている。
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BSL-2実験室
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BSL-3実験室
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